東アジア歴史・人権・平和宣言行動計画・事務局運営


by e-asia-hhpa

Ⅵ 東アジアにおける人種差別等の被害の効果的な救済、回復、是正、補償その他の措置


Ⅵ 東アジアにおける人種差別等の被害の効果的な救済、回復、是正、補償その他の措置

152 歴史の事実と真実

東アジアにおける過去の悲劇を全面的に認識できるようにするために、人類史の事実と真実を教えること、ならびに人種差別等の歴史、原因、性質と結果の事実と真実を教えることが重要である。

153 犠牲者の記憶

東アジアにおける奴隷制、奴隷取引、植民地主義およびジェノサイドがもたらした大規模な人間の苦痛と、無数の女性、男性、および子どもたちの苦難を深い悲しみとともに心に刻む。過去の悲劇の犠牲者の記憶に敬意を捧げる。それらがいつどこで起きたものであれ非難されねばならず、再発予防されねばならない。奴隷制等の慣行や、それに関わる組織が、政治的、社会経済的、文化的に、人種差別等をもたらしてきたことを残念に思う。

154 過去の悲劇の苦痛と害悪

東アジアにおける奴隷制、奴隷取引、植民地主義、ジェノサイドおよび過去の悲劇の結果として無数の女性、男性、および子どもたちに加えられた語られざる苦痛と害悪を深い悲しみとともに心に刻む。同時に、東アジアと異なり、世界には、重大かつ大規模侵害について進んで謝罪をした国家や、補償を行なった国家と社会があることに留意する。

155 被害者の尊厳の回復

歴史の暗い章を閉じ、和解と癒しを実現するために、東アジア地域の諸国と人民がこれらの悲劇の犠牲者の記憶に敬意を捧げるよう勧める。さらに、世界には、進んで「謝罪を表明する」としてきた国家があることに留意し、被害者の尊厳を回復しようとしない日本政府に、そのための適切な方法を見いだすよう呼びかける。

156 道義的責任と義務

関連するすべての国家と社会に道義的責任と義務があることを認め、重大人権侵害の慣行の結果が継続しているのを停止し、流れを逆転させるために適切で効果的な措置を講じるよう呼びかける。

157 人種差別等の過去と現在

人種差別等の過去と現代的形態の結果が、東アジアの平和と安全、多くの人民の人間の尊厳、人権と基本的自由の実現にとって重大な障害となっている。

158 人種差別等の人権侵害性

人種差別等により引き起こされた人権侵害の犠牲者は、社会的、文化的、経済的に被害を受けやすい状況に照らして、そうした差別の結果として受けた損害について公正で十分な補償や満足を求める権利を含めて、適切な場合の法律扶助、そして効果的かつ適切な保護や救済を含む司法へのアクセスを保証されるべきである。多くの国際人権文書と地域人権文書、なかでも世界人権宣言と人種差別撤廃条約に示されているように、人権侵害被害者に対する救済を実現するべきである。

159 和解と正義のために

過去の犯罪や悪事を想起し、人種主義や人種差別による悲劇を明白に非難し、歴史の真実を語ることが、国際的な和解、正義、平等および連帯に基づく社会の創造にとって必須の要素である。真実を解明し、深刻な犯罪を非難すること抜きに和解を語ることはできない。正義と和解は無関係のものではなく密接な関連を有するので、両者を対立させて二者択一を迫るべきではない。正義から切り離された「和解」は、歴史の真実を隠蔽することにつながる。

160 クマラスワミ勧告

1996年のラディカ・クマラスワミ「女性に対する暴力特別報告者」が日本軍性奴隷制に関して日本政府に対して勧告したように、日本政府は法的責任を認め、真相を解明し、被害者に謝罪と補償を行うべきである。

161 道義的責任と法的責任

日本軍性奴隷制のような重大深刻な悲劇については、関連するすべての諸国および人民に道義的責任が意識されるべきである。道義的責任は、関係者であれば誰もが痛感するべき責任である。加害者である日本政府が、道義的責任を口実に法的責任を逃れようと弁解することは、道義的責任の悪質な濫用である。道義的責任を口実とする「女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)」は、日本政府の責任逃れのための策略として厳しく非難されなければならない。アジア女性基金は、日本政府の法的責任の回避に利用され、被害女性を再び傷つけ、被害各地域の被害者支援団体を誹謗中傷し、正義と和解を求める日本社会の運動を混乱させた。

162 女性国際戦犯法廷勧告

2001年12月4日の「女性国際戦犯法廷」判決の勧告に従って、日本政府は、第二次大戦前および戦中に行った日本軍性奴隷制が人道に対する罪と戦争犯罪であると認め、自ら犯罪を行った個人のみならず、日本政府の犯罪関与責任を認定し、被害者に対する謝罪と補償を行なうべきである。

163 人権理事会普遍的定期審査勧告

2008年5月9日、国連人権理事会が、その普遍的定期審査(UPR)の結果として行なった勧告に従って、日本政府は、第二次世界大戦中の日本軍性奴隷制問題に関する、国連諸機関(女性に対する暴力に関する特別報告者、女性差別撤廃委員会および拷問禁止委員会)による勧告に誠実に対応し、日本における継続的な歴史の歪曲の状況に取り組む緊急措置をとるべきである。

164 女性差別撤廃委員会勧告

2009年8月7日、女性差別撤廃委員会が行なった勧告に従って、日本政府は、第二次世界大戦中に被害を受けた「慰安婦」の状況について日本が永続的解決を見出していないことを認め、学校教科書にこの問題に関する記述を復活させるべきである。日本政府は、女性差別撤廃委員会勧告に従って、被害者補償、加害者訴追、これらの犯罪に関する公衆に対する教育を含む、永続的解決を見出す努力を緊急に行うべきである。

165 重大人権侵害被害者の権利回復

日本軍性奴隷制に関連する国際機関による諸勧告が提案した解決は、重大人権侵害のすべての被害者の権利回復のためのモデルを提供している。日本政府は、植民地支配及び第二次大戦の時期に行った諸政策の結果として生じた、強制連行・強制労働、軍人軍属、BC級戦犯問題、七三一部隊被害者、南京事件、細菌戦、戦略爆撃など数々の重大人権侵害の被害者に対して、真摯に謝罪し、補償するべきである。

166 人種差別等被害と責任

植民地支配や第二次大戦時における歴史的悲劇に根源を有する東アジアにおける人種差別等について、日本政府は、その歴史的責任を自覚し、事実を明らかにし、被害者に謝罪と補償を行うべきである。

167 ディエン勧告

2006年3月31日のドゥドゥ・ディエン「人種差別等特別報告者」が、日本政府に対して行った勧告に従って、日本社会に人種差別や外国人排斥が存在することを、正式かつ公的に認め、人種差別禁止法を制定するべきである。

168 先住民族権利宣言

2007年9月13日、国連総会で採択された「先住民族の権利に関する国際連合宣言」に従って、日本政府は、先住民族が他のすべての民族と平等であることを認め、アイヌ民族の先住民族としての権利を認めるべきである。

169 人種差別撤廃委員会勧告

2010年2月24日、人種差別撤廃委員会が、日本政府に対して行なった勧告に従って、日本政府は、包括的な人種差別禁止法を制定し、アイヌの権利に明確に焦点を当てた行動計画を含む政策やプログラムに結実させ、沖縄の人びとの被っている差別を直視し、彼女/彼らの権利を推進し適切な保護措置・保護政策を確立し、朝鮮学校に対する差別などの朝鮮人差別を撤廃するべきである。

170 国際機関の勧告と日本政府

国連人権理事会、人権小委員会などの遠く別報告者による勧告、国連人権理事会の普遍的定期審査による勧告、国連人権理事会の特別報告者による勧告、自由権規約委員会・女性差別撤廃委員会・人種差別撤廃委員会など馘首の条約に基づく委員会による勧告など数々の勧告にもかかわらず、日本政府は、日本軍性奴隷制度の被害者にも、今日の人種差別被害者にも、謝罪も補償も行なっていない。アメリカ、カナダ、オランダ、EU議会による勧告も受け容れていない。日本政府は、他に類例がないほど数多くなされてきた勧告を受け容れて、重大人権被害者に謝罪と補償を行うべきである。

171 国内人権機関

日本政府は、2010年6月、パリ原則に従った国内人権機関の設置の方向性を示した。これまで独立した人権機関の設置を拒否してきた日本政府が方針を転換したことを歓迎する。設置される国内人権機関が、本宣言で繰り返し言及してきた重大人権被害者の権利保護と救済に役立つようになることを期待する。

172 日本社会の責任

本宣言で取り上げられた重大人権侵害や人種差別等について、日本社会は、日本政府に責任を取らせる責任がある。日本社会(NGO、人民)は、アジア各地の被害者や被害者支援団体や、国際的な人権ネットワークの協力を得て、これまで以上に日本政府に対する圧力を強化するべきである。日本軍性奴隷制問題の解決を求める立法提案を確実に実現するためいっそうの努力を払うべきである。日本各地の自治体における「慰安婦」問題の解決を求める決議を実現した日本の市民に感謝する。同種の決議をさらに促進して日本政府に圧力をかけることが必要である。
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by e-asia-hhpa | 2009-05-23 18:30