東アジア歴史・人権・平和宣言行動計画・事務局運営


by e-asia-hhpa

Ⅴ 東アジアにおける人種主義、人種差別外国人排斥…不寛容の根絶

Ⅴ 東アジアにおける人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容の根絶を目指した予防・教育・保護の措置(第一次案)


122 人種差別廃止のために

不公平な政治・経済・文化・社会条件が人種差別等を育て、それが不平等をますます悪化させる。発展の領域を含むすべての領域ですべての者の真の機会の平等が、人種差別等の廃止にとって基本である。

123 人種差別撤廃条約の遵守

人種差別撤廃条約の普遍的な支持と完全な実施が、東アジアにおける平等と非差別を促進するのに最も重要である。日本政府は、人種差別撤廃条約を完全に実施するために、同条約第4条(a)(b)の留保を撤回するべきである。日本政府は、人種差別撤廃条約に基づいて設置された人種差別撤廃委員会からなされた2001年および2010年の諸勧告を実施するべきである。

124 人種差別等の予防と廃止

東アジアにおけるすべての諸国が、人種差別等の予防と廃止における基本要素としてのすべての人権、発展の権利を含む経済・社会・文化・市民・政治的権利の普遍的尊重、遵守、保護を促進するよう厳粛な公約をすべきである。とりわけ、日本政府はその歴史ゆえに、東アジアにおける人種差別等の予防に大きな責任を有し、役割を果たすべきである。

125 人種差別克服の阻害要因

人種差別を克服し平等を達成するのを妨げるのは、主として、政治意思の欠如、立法の弱体、国家による実施戦略と具体的行為の欠如、ならびに人種主義的態度と否定的なステレオタイプの流行である。

126 人種差別撤廃立法

法律制定や政治・社会・経済政策を含む国際人権規範と義務の教育、発展、誠実な実施が、人種差別等と闘うのに決定的である。日本政府は、人種差別撤廃条約第2条に従って、人種差別を撤廃するための立法措置を行なうべきである。

127 ヘイト・クライムの不処罰

人民の必要と念願に応じた民主主義、透明性、責任、説明責任、参加統治、および、人権、基本的自由の尊重、および法の支配が、人種差別等の効果的予防と廃止にとって不可欠である。人種主義者や外国人排斥の態度に動機づけられた犯罪の不処罰は、法の支配と民主主義を弱体化させる役割を果たし、そうした行為の再発を促すことを再確認する。

128 包括的人種差別禁止法の制定

日本政府は、人種主義者や外国人排斥の態度に動機づけられた犯罪の不処罰に終止符を打つために、ヘイト・クライム処罰法を含む包括的な人種差別禁止法を制定するべきである。人種差別撤廃条約第4条(a)(b)は、人種差別の煽動を処罰し、人種差別団体を規制する事を締約国に求めている。2010年の人種差別撤廃委員会は、日本政府に人種差別禁止法の制定を勧告した。日本政府は第4条(a)(b)の留保を撤回し、包括的な人種差別禁止法を制定する必要がある。

129 政治指導者による差別発言

政治指導者と政党が、人種差別等と闘うのに役割を果たすことができ、またそうするべきである鍵の役割を強調し、政党が連帯、寛容および尊重を促進する措置を講じるよう奨励する。政治指導者と政党が、人種差別等を助長し煽動することは、人種差別撤廃条約第4条(a)(b)によって禁止するとされた犯罪である。日本政府は、東京都知事など高位の公務員による人種差別発言を擁護する姿勢を改めて、犯罪として取り扱うべきである。2001年および2010年の人種差別撤廃委員会による勧告に従って、日本政府は東京都知事らの人種差別発言を抑止するよう努力する必要がある。

130 人種差別イデオロギー

東アジアに、人種的偏見や民族的偏見に基づく暴力的な国家主義イデオロギーが存在する。どのような場合であれ、どのような条件であれ、このような現象が正当化されてはならない。

131 政府による人種差別等の帰結

人種主義、外国人排斥および人種的優越の理論その他の差別に基づいた政治綱領と組織、ならびに人種差別等に基づいた立法と実務は、民主主義、透明性、責任ある統治と矛盾するものとして非難する。政府の政策によって容認された人種差別等は人権を侵害し、人民の間の友好的関係、諸国の間の協力、国際平和と安全保障を危うくする。

132 ヘイト・クライムの禁止

人種的優越や憎悪に基づく宣伝は、世界人権宣言に体現された諸原則および人種差別撤廃条約第5条に明定された諸権利に照らして、法によって処罰される犯罪であると宣言されるべきである。

133 人種差別煽動組織の規制

人種差別撤廃条約第4条(b)が、人種的優越や憎悪に基づいた観念、暴力行為やそうした行為の煽動を宣伝する組織に対して用心深くし、裁判にかけることを各国の義務としていることに留意する。人種差別煽動組織は非難され、阻止されるべきである。

134 メディアの役割

メディアは多文化社会の多様性を描写し、人種差別等と闘うのに役割を果たすべきである。この点で、広告の力にも関心を寄せる必要がある。

135 メディアによる差別助長

一部のメディアが、被害を受けやすい集団と個人、とくに移住者と難民について誤ったイメージとステレオタイプを助長して、公衆の間に外国人排斥や人種主義の感情を広げるのに寄与し、個人や集団の人種主義者による暴力を助長してきたことは残念である。

136 メディアの積極的役割

メディアは、東アジアにおいて社会発展に貢献してきた先住民族、マイノリティ、移住者の現状を正しく伝え、彼女ら/彼らのニーズに応える必要がある。

137 マイノリティによるメディア

東アジアにおける先住民族、マイノリティ、移住者によるテレビ・ラジオ放送局の開設や、放送番組の製作・放映が、彼女ら/彼らについての社会イメージの改善に大きな役割を果たす。

138 被害者とメディア

人種差別等の被害者の声を伝えるコミュニティ・メディアの重要性をすべての国家が認めるべきである。とりわけ日本政府は、その歴史的責任からも、そうした努力の先頭を切るべきである。

139 新しいメディア

とくにメディアと、インターネットを含む新しいテクノロジーによる表現の自由の権利行使、および情報を求め、受け取り、伝達する自由の完全な尊重が、人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容との闘いをするのに積極的な貢献をすることを認める。この点で、メディアの編集の独立性と自律が尊重される必要がある。

140 インターネットと差別

人間的価値、平等、非差別の尊重や、他者と寛容の尊重とは逆の目的で、人種憎悪、や人種差別等の宣伝などのためのインターネットなどの新しい情報テクノロジーの利用、および、新しい情報テクノロジーにアクセスするとくに子どもと若者がそれによって否定的な影響を受けている。

141 差別との闘いとインターネット

人種差別等との闘いに役立てるためのインターネットなどの新しい情報伝達テクノロジーの利用を促進する必要性も認める。新しいテクノロジーは、寛容と人間の尊重、および平等と非差別の原則の促進を支援することができる。

142 権力と差別

公の当局・制度・メディア・政党・国家機関・地方機関の作為・不作為による異なった出身の人びとへの非難は、人種差別行為であるのみならず、人種差別行為の再発を煽動するものであり、それによって人種主義的態度や偏見を増強する悪循環をつくりだす結果になり、非難されねばならない。

143 人権教育

とくに人権教育における、すべてのレベル、すべての年齢における、家庭内教育を含む教育が、人種差別等に基づく態度や行動を変化させ、社会における寛容と多様性の尊重を促進する鍵であることを認める。さらに、こうした教育が正義と平等という民主的価値の促進、宣伝および保護における決定的要素であり、人種差別等の流布を予防し闘うのに必要である。

144 平等教育

平等教育、非識字の根絶、すべての者の無償初等教育へのアクセスは、より包容的社会、公平、諸国・人民・集団・個人の間の安定した調和関係と友好、平和の文化に貢献し、相互理解・連帯・社会正義・すべての者のすべての人権の尊重を促進することができる。

145 教育の権利

教育の権利と人種差別等との闘いの間の結合、および、人権教育や文化的多様性に敏感でこれを尊重する教育、とくに子どもと若者の教育が、すべての形態の不寛容と差別の予防と撤廃に重要な役割を有する。

146 高校無償化除外問題

2010年2月以来、政治問題とされた朝鮮学校の高校無償化からの除外は、2010年3月の人種差別撤廃委員会勧告が指摘したように、不当な差別であり、すみやかに是正されなければならない。

147 教科書検定(1)

家永教科書裁判などの裁判を通じて明らかにされたように、日本の学校教科書に関する教科書検定は、教育内容の国家的統制であり、思想の自由や表現の自由に抵触するばかりではなく、教育内容をゆがめ、子ども・生徒が教育を受ける権利を損なうものであると指摘する。

148 教科書検定(2)

教科書検定において、とりわけ歴史教科書の記述に関して、特定の国家主義イデオロギーに基づいた歴史歪曲、史実の隠蔽が続いてきたことを遺憾に思う。

149 「歴史教科書論争」

1990年代後半に浮上した「歴史教科書論争」、同時並行的に行なわれた「歴史認識論争」「従軍慰安婦論争」などにおいて、特定の国家主義イデオロギーに基づいて、日本の植民地支配を正当化し、侵略戦争を美化し、都合の悪い史実を隠蔽する社会的潮流が台頭したことに留意する。

150 歴史の事実と教科書記述

1996年の国連人権委員会のラディカ・クマラスワミ「女性に対する暴力特別報告者」が、「従軍慰安婦」の史実を歴史教科書に記述し、教育課程に取り入れるよう勧告したことを想起する。それにもかかわらず、日本政府は歴史教科書からの「慰安婦」記述の削除を政策的に進め、教科書執筆者の多くが「慰安婦」記述の削除に従ってきたことを遺憾に思う。さらに、歴史を歪曲する異様な国家主義イデオロギーに基づく歴史教科書などが登場し、政治的圧力を用いて教育現場に持ち込まれたことを非難する。

151 未来をひらく歴史教科書

日本、韓国、中国の民間における歴史教材づくりと研究の交流の促進と成果について未来を開く歴史
[PR]
by e-asia-hhpa | 2009-05-31 07:28