東アジア歴史・人権・平和宣言行動計画・事務局運営


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Ⅲ 東アジアにおける人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容の被害者
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A 人種差別等の歴史的形成

27 歴史的被害の確認

東アジア人民が数世紀にわたって人種主義・人種差別・奴隷化の被害者であり、その権利の多くを歴史によって否定された被害者である。その尊厳について公正かつ尊重されて扱われるべきであり、いかなる種類の差別にも苦しんではならない。

28 日本の戦争と植民地支配

東アジアにおける人種差別等の基本形態は、日本帝国主義による戦争と植民地支配によって形成された。その下での被害者の声に耳を傾けることが不可欠である。

29 人種差別等の形成

東アジアにおける人種差別等は、日本帝国主義による戦争と植民地主義の諸段階に応じて、順次形成され、深刻化していった。

30 アイヌモシリ侵略

アイヌモシリに対する侵略と植民地支配は、1869年、アイヌモシリ(蝦夷)を北海道と改めて以後、本格化した。それ以前から、例えば、15世紀におけるコシャマインの抵抗、17世紀におけるシャクシャインの抵抗に知られるように、和人(日本人)の蝦夷地への進出、アイヌ民族に対する差別や酷使が続いていた。1874年から1904年にかけて、日本政府は屯田兵を送り込んで北海道の「警備」と「開拓」を行ったが、屯田兵とはまさに侵略の尖兵にほかならない。1899年、日本政府は「北海道旧土人保護法」を制定し、アイヌ民族の自由と権利を剥奪した。1997年のアイヌ文化保護法は「文化保護」に限られた。2007年の国連先住民族権利宣言採択後に、ようやく日本政府はアイヌ民族を先住民族と認め、アイヌ政策を検討中であるが、アイヌの先住民族の権利をまだ認めていない。

31 沖縄/琉球侵略

沖縄/琉球に対する侵略と植民地支配は、1879年の琉球処分以後、本格化した。それ以前から、15世紀に成立した琉球王国に対して、17世紀に薩摩藩が侵略して、事実上の植民地支配を布いていた。琉球処分以後、沖縄は定刻の版図に組み入れられ、ウチナンチュに対する皇民化政策が推し進められ、第二次大戦時には沖縄戦により沖縄人は日本軍に殺され、「集団死」を強いられるなど、筆舌に尽くし難い被害を被った。第二次大戦後、いわゆる「天皇メッセージ」により、沖縄は住民の意思とは関係なく、一方的に米軍統治下に委ねられた。1972年の「沖縄復帰」後も、在日米軍基地の多くが、民意に反して沖縄に押し付けられたままであり、安全保障の名の下に沖縄に対する日米の支配が続いている。2009~10年、米軍普天間基地問題の解決を唱えた鳩山由起夫内閣は、結局、米軍基地を沖縄に改めて押し付ける日米合意を取り結んだ。

32 台湾侵略

台湾に対する侵略と植民地支配は、1895年の清朝による「台湾割譲」以後、本格化した。台湾領有戦争では、現地住民による激しい抵抗運動を武力により徹底弾圧し、その後は「内地延長主義」が採用されたが、1930年の霧社事件の後は皇民化政策が採用された。1945年の中華民国成立により日本統治は終了したが、サンフランシスコ条約発効とともに日米安全保障条約が締結され、同時に日華平和条約が締結されたことで、日本は国共内戦に深く関わり、台湾に影響力を行使することになった。

33 朝鮮侵略

朝鮮半島に対する侵略と植民地支配は、1905年の乙巳保護条約(第二次日韓協約)   および1910年の韓国併合条約(韓国併合ニ関スル条約)以後、本格化した。植民地化の根拠となった一連の条約には、外交文書としての成立過程、文書自体の性格・特徴から、その成立が疑われるものが多い。このため単なる植民地化ではなく、武力占領だったとの理解もある。朝鮮人民は、東学農民戦争から始まり、併合前後の義兵闘争、1919年の3.1独立運動、1930年代の抗日武装闘争など、日本による植民地支配に対する激しい抵抗運動を行ったが、日本軍はこれを武力弾圧し、植民地支配を維持した。統治方式は、時期により武断政治や文化政治などさまざまな特徴を有するとされるが、土地調査事業による国土の略奪、「国語(日本語)」常用、神社参拝、創氏改名などの皇民化政策、さらには第二次大戦期の強制連行・強制労働、日本軍性奴隷制(「従軍慰安婦」)、志願兵・学徒兵・徴用・徴兵などに本の総動員体制の中で、朝鮮人民を奴隷状態に置いて抑圧した。

34 サハリン・南洋侵略

日本は、1905年、サハリン(樺太)に上陸し、ポーツマス講和条約以後、樺太を植民地化した。続いて、1914年、第一次大戦に参戦し、当時ドイツ領であったミクロネシア一帯を占領し、「南洋群島」と呼び、1919年、国際連盟による委任統治領とした。1933年、日本は国際連盟から脱退し、徐々に委任統治領を日本領土に変質させていった。第二次大戦時、南洋群島は日米両軍の激戦の地とされ、現地住民は多大の被害を被った。ペリリュー島やアンガウル島は日米両軍による激戦地となり、島の形状まで大きく変化したといわれる。バナバ島やナウル島の住民は各地に強制移住させられた。日本軍による住民虐殺や略奪も報告されている。タラワ島やマキン島の激戦では日本軍が全滅したが、そこには多くの朝鮮人軍属が含まれていた。第二次大戦後、サハリンはソ連領となった。敗戦後、日本人は本土に引き上げたが、朝鮮半島から移住させられていた朝鮮人は置き去りにされた。他方、南洋群島は国際連合の下、アメリカの信託統治領となった。

35 中国侵略

中国東北部への侵略と植民地支配の結果、日本は、1932年、旧「満州国」を捏造した。中国侵略の本格化は、1928年の張作霖事件、1931年の「満州事変」により、続いて1937年の日中戦争(「支那事変」)でいっそうの激化をもたらし、その結果として、1941年の「太平洋戦争」に拡大したが、中国における戦争と占領、交戦と虐殺、略奪と搾取は天文学的数字に達した。

36 第二次大戦における侵略と占領

第二次大戦は、一般に真珠湾攻撃から始まったとされるが、実際には真珠湾攻撃よりもマレー半島のコタバル攻撃が先であった。日本軍は、フィリピン、ベトナム、マレー半島、シンガポール、タイ、ビルマ、インドネシア、東ティモールなどを占領した。占領行政のあり方は地域によって異なるが、現地住民への差別、神社参拝の強要、資源の略奪、強制労働、女性に対する性暴力など、さまざまな被害を与えた。日米両軍による戦闘が行なわれた地域では、戦闘に巻き込まれるなど現地の被害はさらに甚大であった。

37 侵略・占領による被害

日本帝国主義による占領下、植民地支配下における政策が、東アジア人民の自己決定権、文化、アイデンティティを破壊し、取り戻すことのできない被害と苦痛を与えたことを確認する。

B 脱植民地過程

38 継続する植民地主義

日本帝国主義による占領や植民地支配が終了して以後も、日本における植民地支配の清算の不十分さから、「継続する植民地主義」とも呼ばれる残滓が随所に見られることになった。

39 カイロ・ポツダム宣言

第二次大戦終了後、日本政府は、カイロ・ポツダム宣言による日本領土(本州、北海道、九州、四国およびその他の島嶼)以外の領有権を剥奪されたが、同時に日本在住の旧植民地・占領地出身者たちのあらゆる権利を剥奪した。

40 東京裁判とサンフランシスコ条約

第二次大戦後、極東国際軍事裁判において日本の戦争犯罪者が裁かれたが、裁判は欧米を中心とした西欧諸国によって担われ、アジアの被害地域が除外されたために、日本がアジア太平洋各地で行った戦争犯罪と人道に対する罪の多くが未解明に終わった。1951年の対日講和条約(サンフランシスコ条約)も「片面講和」と呼ばれたように、アメリカを中心とする西側諸国との講和によって日本を「国際社会」に復帰させることが優先された。このため、日本はアジア太平洋における侵略と植民地支配、戦争犯罪と人道に対する罪の責任を問われることを免れた。

41 日韓条約と日中共同声明

サンフランシスコ講和条約以外に、日本は、1965年の日韓条約、1972年の日中共同声明など、アジア各国との二国間協定によって戦後賠償を進めたが、戦後賠償が実際には日本資本主義の海外進出を先導する結果となり、また、個人被害者の手にはほとんど届けられることがなかったことが、東アジア地域における和解の未達成という帰結をもたらした。

42 日本の外国人管理政策

日本政府の外国人管理政策は、1947年の外国人登録令以後、本来差別的なものであり、人種・民族差別等の残存、再生産をもたらしてきた。このことが今日に至るまで、日本における人権意識の欠如、民主主義の不十分さを招いている。

C 東アジア地域社会の構成員(人民・先住民族・移住者・難民・マイノリティ)

43 東アジア地域人民の権利

 東アジア人民が、文化と自己のアイデンティティへの権利、政治・社会、経済・文化生活における自由で平等な条件で参加する権利、自己の欲求と慣習の文脈で発展する権利、自己の組織形態・生活様式・文化・伝統・宗教様式を維持・持続・促進する権利、自己の言語を持続・使用する権利、自己の伝統的知識や文化遺産・芸術遺産の保護への権利、住居が自然に更新されて供給される使用・享受・保存への権利、特別に特徴的なものも含む教育制度・教育課程の設定・実施・発展に積極的に参加する権利、適用できる場合には先祖伝来の居住地への権利が認識されるべきである。

44 人種差別等の廃止に向けて

東アジアにおいて、人民が、公の制度でも私的にも、支配的な社会的偏見と差別の結果としての障害に直面していることを認め、この地域の人民が直面しているあらゆる形態の人種・民族差別等の廃止に向けての努力が必要である。

45 東アジア地域人民の貢献

数世紀にわたって人種差別等に直面してきたにもかかわらず、東アジア地域人民は、彼女ら/彼らが居住する諸国の経済・社会・政治・科学・文化生活に貢献してきたし、いまも貢献していることを確認する。

46 先住民族の被害

先住民族は、数世紀にわたって差別の被害者であった。東アジアにおける先住民族も、数世紀にわたって差別の被害者であった。先住民族が尊厳と権利において自由かつ平等であって、いかなる差別、とくに先住民族の出自とアイデンティティに基づく差別をされてはならない。先住民族に影響を与える人種差別等の継続を克服する行為の必要が続いている。

47 先住民族の貢献

東アジアにおける先住民族の文化と遺産の価値と多様性は、社会の発展と文化的多元主義、および社会のすべての局面での完全な参加への先住民族の格別の貢献、とくに先住民族の関心のある問題での貢献が、政治的社会的安定や、先住民族が居住している各国の発展にとって基本的である。

48 先住民族のイニシアティヴ

先住民族が人権と基本的自由を完全に実現することが人種差別等の廃止にとって絶対に必要であるという確信を強調する。先住民族が市民・政治・経済・社会・文化的権利を完全かつ平等に享受し、先住民族に特徴的な性質やイニシアティブを尊重されつつ、持続可能な発展のためになるよう促進するという決定をしっかりと確認する。

49 先住民族の権利

先住民族が自己のアイデンティティを自由に表明し、権利を行使するために、先住民族がすべての形態の差別から自由であり、当然のことながら人権と基本的自由の尊重が伴うことを強調する。先住民族の権利に関する宣言案の交渉において先住民族のために普遍的な認知が保証されるよう努力がなされている。先住民族の権利には以下のものが含まれる。自己の名前で呼ばれる権利、居住する自国の政治・経済・社会・文化的発展に自由かつ平等に参加する権利、自己の組織・生活様式・文化・伝統を持続する権利、自己の言語を持続・使用する権利、居住する地域において自己の経済構造を持続する権利、教育制度・教育プログラムの発展に役割を果たす権利、狩猟・漁業など自己の土地と資源を管理する権利、司法に平等にアクセスする権利。

50 先住民族の土地の権利

先住民族がその精神的、肉体的、文化的存在の基礎として土地との間にもっている特別の関係を認め、可能であれば、先住民族が国内法で保障されている自己の土地と資源の所有権を保有できるよう各国に促す。

51 移住者の貢献

移住者が、出身国でも受け入れ国でも、経済・社会・文化に積極的に貢献することを認める。

52 移住者の法的枠組み

移住についての日本の法的枠組みと政策が、適用可能な人権文書・規範・基準に合致するべきであり、人種差別等から自由であることを保証するよう立案されるべきであると再確認する。

53 移住者に対する人種差別等

移住者に対する人種差別等の現象と行為、および移住者に適用されるステレオタイプに懸念を留意し、強く非難する。裁判管轄権のもとで移住者の人権を保護する各国の責任を再確認する。移住者を不法行為や暴力行為、とくに人種差別と、個人や集団が人種主義や外国人排斥の動機で行った犯罪から保全・保護する政府の責任を再確認する。移住者が社会で、職場で、公正、正義、公平な取り扱いを受ける必要があることを強調する。

54 移住者への差別の克服

日本において、移住者に対する人種主義と外国人排斥の現象を廃止するために、移住者とその他の社会構成員との間の調和、寛容、尊重を増大させるのに役立つ条件をつくる意義を強調する。家族がともに暮らすことが統合に積極的な影響を与えることを強調し、各国に家族の再統合を促進するよう強調する。

55 難民・難民申請者

人種差別等、人びとを難民や難民申請者として自分の出身国から強制排除したり、移動せざるをえなくさせることに関心をもって留意する。

56 難民等への差別

人種差別等との闘いの努力にもかかわらず、とりわけ、難民や難民申請者、国内避難民に対する人種差別等のさまざまの形態の事例が継続していることも懸念をもって認める。

57 歴史を記憶すること

人類史が重大人権侵害の結果としての多くの残虐行為に満ちていることを自覚し、歴史を記憶することによって将来の悲劇を防ぐことを教訓として学ぶことができると信じる。近現代日本史が重大人権侵害の結果として多くの残虐行為に満ちていることを自覚し、歴史を記憶することによって招来の悲劇を防ぐことを教訓として学ぶことができる。

58 悲劇を忘れない

近現代日本史におけるジェノサイドや人道に対する罪の悲劇は、決して忘れてはならない。

59 マイノリティの保護

民族的・言語的・宗教的マイノリティは、強制移住、ジェノサイドおよび同化政策による文化ジェノサイドから保護され、集団的アイデンティティを維持・発展させる権利を有し、地域的・全国的決定過程に効果的に参加する権利を有すること、国家はその条件整備のために積極的措置を講じる義務を負う。

60 マイノリティの権利

民族的・言語的・宗教的マイノリティないし先住民族に属する者は、子どもも含め、個人として、また帰属集団・共同体の他の構成員とともに、自己の文化を享受し、自己の宗教を宣明・実践し、自己の言語を使用する権利を有することを認める。国家は、それらのマイノリティおよび先住民族に、マジョリティと平等にいかなる差別もなく、人権と基本的自由を保障するべきである。

61 ジェンダー視点

人種差別等が、女性と少女にとって、男性に対するのとは異なる形態で行われ、教育、雇用、健康など、生活の多くの領域において不均衡に否定的影響を及ぼし、搾取的労働や暴力など、人権の制限や否定を導く要因となりうることを認識する。そうした複合的な差別に対処するために、人種差別等に反対する政策、戦略、行動計画にジェンダーの視点を必ず導入すべきである。

62 女性に対する人種差別等

女性に対する人種差別等のために、女性が市民的・政治的・経済的・社会的・文化的権利を完全に享受し、行使する上で直面している不利益・障害・困難の実態を調査し、当事者の意見を政策に取り入れるためのよりシステマティックで一貫した方法を発展させる必要がある。

63 子どもと若者

人種差別等の被害者に、子どもと若者、とくに少女の数が多いことに関心をもって留意し、子どもの最善の利益と子どもの意見の尊重の原則に従って、これらの慣行の被害者である子どもと若者の権利と状況に優先的な関心を払うため、人種差別等と闘う計画に特別な措置を盛り込む必要がある。

64 子ども労働

子ども労働が貧困、発展の欠如、関連のある社会経済条件に結びついているので、ある場合には、影響を受ける集団の子どもに、生産生活において必要とされる能力を身につけ、経済成長から利益を得る機会を不釣り合いなほどに否定することによって、貧困と人種差別を永続化してしまうことを認める。




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by e-asia-hhpa | 2009-07-20 15:53